夕張太鼓の変遷

「初代法被」

(夕張太鼓興起40周年・保存会設立25周年記念演奏会より)

 夕張市は明治24年炭鉱開始以来「炭鉱の街」として栄え、一時は大小24の鉱山、人口が12万人を数え、炭住(棟割長屋)が山の上まで立ち並び、川は石炭で黒く染まり、冬は炭住の煙突から黒い煙を出し栄えておりました。しかし、昭和30年頃より斜陽となってきた炭鉱のなか、昭和40年代からは相次ぐ炭鉱の閉山により、今は1万4千人まで減少し、炭鉱マンも街の人々も前途に明るさが失ってきておりました。

 そのような中で、人々の心を奮い立たせようと、鎮守の夕張神社の宮司、本間大堯氏が創始者となり、炭鉱マンに呼びかけ夕張太鼓が結成されたのが始まりです。


 夕張太鼓は、神楽太鼓の勇壮さを取り入れ創られました。準備、練習に1年を要し、昭和45年に打ち初めをしました。第一作として炭鉱安泰を祈るための『夕張祈願太鼓』が産土(うすぶな)の社の前から鳴り響きました。街の繁栄・炭鉱の安全・炭鉱で働く男を表現して作られ、年に1度の炭山祭りでは、市内地域の30数箇所を、朝から陽が沈むまで太鼓演奏をしていました。しかし、炭鉱を失った頃は職を求めて夕張を離れる者が多く、会員が減り夕張太鼓の存続が危ぶまれる状況となり、ついに昭和59年には会が解散いたしました。


 存続へ懸命な努力を行い、翌年、市民有志が集まり、夕張太鼓を保存しようと商工会義所が中心となり、市内小中学校への呼びかけに、子供たちが20~30名程度集まりました。

 昭和60年には、組織を整え、郷土芸能である夕張太鼓を市民的財産として位置付け、青少年の育成・郷土芸能の継承などを目的とし、「夕張太鼓保存会」を発足させることができました。

 練習会場も、商工会義所のホールを借り、週2回の練習を始め、設立1年程で地域行事に参加出来るようになりました。


 夕張太鼓の活動としては、夕張神社で、元旦奉納太鼓(初打ち・初練習)行います。マイナス10度~20度ぐらいになる中、普段と変わらぬ衣装で子供たちが元旦0時から2時間程演奏を行います。

 炭山祭り(現夕張神社例大祭)では、昔に比べ地域祭りが20箇所程に減りましたが、現在も毎年各地域で演奏しています。路上では地域の皆さんに声援をいただき、毎年小さな子供がお祭りの太鼓を見て、入会してくるなど、多くの方々に見ていただくことで、会と地域の活性化に繋がるものと考え、演奏活動を続けています。

「2代目法被」

(夕張太鼓興起40周年・保存会設立25周年記念演奏会より)

平成10年には、成年の部「竜花」結成致しました。また、平成12年には、夕張太鼓興起30周年、保存会設立15周年を迎える事ができました。

 興起30周年からの10年間は、夕張にとっても、また夕張太鼓にとっても激動の10年でありました。その中で、打ち手の子供達は様々なイベントや日本太鼓連盟ジュニアコンクール全国大会出場等を経験するとともに、多方面にわたり演奏活動に参加させて戴くことができました。

 平成19年以降、成年の部「竜花」の活動が困難な状況となり、会の組織を一部統合を図っており、会の名称を、夕張太鼓保存会「竜花」としております。

 22年には、夕張太鼓興起40周年、夕張太鼓保存会設立25周年、夕張太鼓保存会「竜花」発足10周年を迎えることができました。

 これまで、夕張太鼓は、解散、保存会設立、成人会員「竜花」設立、そして統合と、激動の40年を過ごしてきました。しかし、地域の皆様に育てられ、地域の伝統文化となることができました。

 夕張太鼓結成当時の心意気を忘れぬように、今後も、夕張太鼓の継承と保存を図り、地元の郷土芸能として更なる発展を祈願しつつ、人々の心の響きわたるような演奏活動を続け、社会活動への参画と研賛を一層深めていく所存であります。

「3代目法被」

(夕張太鼓興起40周年・保存会設立25周年記念演奏会より)

【夕張太鼓の歴史・活動経緯】


昭和45年(1970年) 

■夕張太鼓結成


昭和54年(1979年) 

■夕張太鼓の会設立

■全国乱れ打ち競演太鼓大会(兵庫県亀山市)にて3位入賞

■全国こども郷土芸能大会(奈良県)参加


昭和60年(1985年)  

■夕張太鼓保存会設立

(夕張太鼓の会を発展的に解消)

■夕張市社会教育団体として認定


平成10年(1998年)  

■成年の部【竜花】結成

■シンセサイザー奏者 喜多郎との競演

≪石炭の歴史村グリーン劇場≫

共演 赤平火太鼓・ほろむい太鼓同志会


平成11年(1999年)  

■シンセサイザー奏者 喜多郎との競演

≪石炭の歴史村グリーン劇場≫

共演 赤平火太鼓・ほろむい太鼓同志会

■和太鼓の祭典MATSURI'99参加

≪札幌芸術の森野外ステージ≫

■電気のふるさとじまん市(千葉幕張メッセ)


平成12年(2000年)  

■シンセサイザー奏者 喜多郎との競演

≪ゆうばり文化スポーツセンター≫

共演 赤平火太鼓・ほろむい太鼓同志会

■電気のふるさとじまん市(千葉幕張メッセ)

■夕張太鼓興起30周年・保存会設立15周年記念演奏会を実施


平成13年(2001年)  

■シンセサイザー奏者 喜多郎との競演(4年連続)

■電気のふるさとじまん市(千葉幕張メッセ)

■御諏訪太鼓・小口大八氏・ジョージ川口氏と競演


平成14年(2002年) 

■第4回総務大臣杯日本太鼓ジュニアコンクール 福島県教育委員長賞 受賞


平成15年(2003年)  

■総務大臣杯・文部科学大臣奨励賞第5回日本太鼓ジュニアコンクール出場


平成16年(2004年)  

■総務大臣杯・文部科学大臣奨励賞第6回日本太鼓ジュニアコンクール 岐阜県議会議長賞 受賞


平成18年(2006年)

■総務大臣杯・文部科学大臣賞第8回日本太鼓ジュニアコンクール 信濃毎日新聞社賞 受賞


平成19年(2007年)

■CUE MUSIC JAM-BOREE in ゆうばりTEAM NACSと打楽競演


平成20年(2008年)  

■総務大臣杯・文部科学大臣賞第10回日本太鼓ジュニアコンクール出場


平成22年(2010年)  

■第12回日本太鼓ジュニアコンクール(内閣総理大臣賞・総務大臣賞・文部科学大臣賞下付)埼玉県教育委員会教育長賞受賞

■夕張太鼓興起40周年・保存会設立25周年記念演奏会を実施


平成27年(2015年)  

■「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO」op演奏


平成30年(2018年)  

■「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO」op演奏